価値とは“新しさ”だけなのか──再利用に挑み続けた社長との出会いから見えたこと

今日、あるお客さまとの打ち合わせの中で、忘れがたい言葉を聞きました。

「今の流れですか?、何かと聞かれれば再利用ですよ。」

その方は、産業廃棄物を建築資材として再利用する技術を、十数年にわたって研究し続けてきた方。
聞けば、ついに製品化にまでたどり着いたとのことでした。

話を伺ううちに、それはただの技術的成果ではなく、価値観そのものをひっくり返すような挑戦であることがわかってきました。

今でこそ「再利用」はポジティブな言葉になりましたが、10年前はそうではありませんでした。
産業廃棄物を資材に転用すること自体が理解されず、
「そんな汚いもので作らないでくれ」と、あからさまに嫌な顔をされたこともあったそうです。

「再利用=安っぽい」「環境対応=建前だけ」といった誤解が強く、真剣に向き合ってもらえない時代。
それでも、そこで歩みを止めることはありませんでした。

再利用は、既製品を超える──職人魂が生んだ“新しい価値”

その社長が目指していたのは、“既製品を超える品質のリユース”
「これが本当に再利用品?」と驚かれるようなクオリティを当たり前にすること。

打ち合わせの最中、社長は次々とサンプルを取り出しながら熱く語ってくれました。
誰も考えもしなかった素材に価値を見出し、かたちにしていく。
その姿には、ワクワクとした“創造の手応え”が宿っていました。

聞けば、それは20年以上前の職人時代から続く、一貫した「こだわり」の賜物でした。
見えないところに手を抜かず、その瞬間の最高を求め続ける。その積み重ねが今、再利用という形で社会に問いを投げかけているのです。

サステナビリティは“建前”から“前提”へ

その取り組みに、今では企業や自治体からの問い合わせが相次いでいるとのこと。
理由は明確です。

サステナビリティという言葉の重みが、建前から“事業の前提”に変わってきた。

サステナビリティとは、「未来に対して責任を持つ」という姿勢そのものです。
単に環境にやさしくあるためではなく、限られた資源を、どう使い切るか
技術者として、事業者として、誠実さが問われる時代になったということだと思います。

ローマのホテルで崩れた「新しさこそ正義」の価値観

その話を聞きながら、ふと思い出した体験があります。
30年ほど前、初めてローマを訪れたときのこと。駅前の高評価ホテルに泊まったのですが、それは築100年を超える歴史的な建物でした。

重厚な石造り、長く使われて磨かれた床、少し軋む扉。
そのすべてに、時間の重みが刻まれており、私はただ圧倒されました。

新しいことが正義だと思い込んでいた自分の狭い価値観が、音を立てて崩れていくのを感じたのです。

志ある企業にこそ、人は集まる

社長はこんなふうにも語っていました。

「これからの日本は、もう高度経済成長期のようにはいかない。
人口も減るし、ガンガン働いて給料をもらう時代は終わる。
これからは“志ある企業”に人が集まり、その企業だけが生き残っていく。

私たちがどんな価値観を掲げ、どんな視点で未来を見ているか。
その“志”が、これからの企業の競争力になる。
私自身も、ものづくりに関わる一人として、この視点を大切にしていきたいと改めて思いました。

ZeroPressの想い──そのホットプレス、まだ終わらせない。

ZeroPressでは、長年使われてきたホットプレス機に、再び命を吹き込む「再生」という選択肢を提案しています。

部品を入れ替え、熱板を刷新し、必要な部分だけを現代仕様にアップグレードする。
それは、単なる延命処置ではなく、次の10年も現役で使える機械へと生まれ変わらせる再設計です。

「そのホットプレス、まだ終わらせない。」

この言葉には、古いものにも価値を見いだし、未来へつなげていくという私たちの意思が込められています。

「再生」を一緒に考えませんか?

あなたの現場にも、まだ眠っている価値があるかもしれません。
再利用、再生の力で未来をつなぐ第一歩を、一緒に踏み出しましょう!

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