第一印象はきれいで素晴らしかったが・・・
某お客様より
「最近、ホットプレスの圧力が出なくなってきた」
というご相談を受け、現場の確認に伺いました。
設備の外観は非常にきれいに整えられており、丁寧に使われている印象。
しかし内部を点検していくと、思わぬ落とし穴が見えてきました。
もくじ
現場観察と診断ポイント
外観からは問題がないように見えるホットプレスでしたが、詳細に観察すると以下のような状態が確認できました:
ガイドの摺動部に油分が全くなく、金属同士が乾いた状態で擦れていた
平衡軸のラック&ピニオンも無給油状態で、摩耗が進行中
上部に設置された油圧ユニットには、30年分と思われるホコリが堆積しており、厚さ約2cm
実際の現象:設定圧力21MPaに対して、出力は14MPa程度しか出ていない
この状況で今まで運転できていたのは、ある意味奇跡。
「よくここまで頑張ってくれた」とプレス機に声をかけたくなるような状態でした。
背景にある“組織と習慣の課題”
今回のような事例は、決して珍しいものではありません。
むしろ、設備を大切にされている現場であっても、以下のような背景によりトラブルが潜在化しているケースは多いです:
担当者が定期的に異動してしまい、設備の使い方やクセが継承されない
メンテナンスマニュアルもなく、やり方がわからない
忙しさの中で「とりあえず動けばOK」となり、先送りが積み重なってしまう
そして、いざ不具合が出て「どうしよう」となってから、初めて設備と向き合うことになる――。
これは業界全体に共通する“構造的な課題”でもあります。
ZeroPressの提案とアプローチ
今回は、以下のような段階的対処をご提案しました:
◆オイル交換(必須)
長期間の使用による油の劣化が圧力低下の大きな要因となっていると推察。
まずはオイルの総入れ替えとタンク内洗浄を実施することで、ベースの状態を正常に戻します。
◆油圧ポンプ交換
オイル交換のみでも圧力が回復する可能性もありますが、
ポンプ内部の摩耗による機能低下の可能性も高いと判断し、
オイル交換と同時にポンプ交換も推奨します。
◆パッキン交換
軽微なオイルにじみが見られたものの、現時点では大きな漏れや圧力損失にはつながっておらず、
急を要する状況ではありません。
次回メンテナンス計画での対応を推奨しました。
このように、「すべてを一気に更新」ではなく、「どこまで回復するかを見ながら段階的に対処」することが、
予算にも現場にも優しいアプローチです。
◆定期点検のすすめ
私たちによるメンテナンスの提案のほか、定期点検の実施を提案しました。
・1ヶ月に1度、油圧ユニット、熱媒体油循環ユニット、シリンダー回りを目視による点検を実施し、油漏れやにじみがないかチェックする。
・3か月~半年に一度、摺動部、可動部のグリスアップとボルトのゆるみチェック。
・2年に一度、作動油及び熱媒体油の交換の実施。(ただし、使用頻度による)
自動車と一緒で、永く使っていただくためには、定期的な点検が不可欠ということです。
同じ症状に心当たりは?
設備がきれいに保たれている現場ほど、実は“見えない劣化”に気づきにくいものです。
ホットプレス機が悲鳴を上げる前に、耳を澄ましてみてください。
圧力の立ち上がりが遅くなった
動作音が以前と違う
「なんとなくおかしい」気がする
そんな違和感こそが、トラブルのサインです。
放置せず、早めの診断が結果的に長寿命化とコスト削減につながります。
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ZeroPressでは、オイル交換やポンプ再生といった部分修理から、
シリンダーや熱板のユニットごとの更新まで、現実的な延命策をご提案しています。
「うちの設備、まだ使えるかな?」
「買い替える前に、まず相談だけでもしたい」
そんなご相談も、もちろん歓迎です。