【徹底解説】熱媒配管のガスケット選定|300℃以上の高温環境ではセミメタルタイプを

熱媒体油を用いた加熱・冷却プレス機では、熱媒配管からの漏油が避けて通れない課題です。特に300℃を超える高温運転や、加熱冷却サイクルの繰り返しを伴う現場では、使用条件に適したガスケット材と配管設計の最適化が欠かせません。

本記事では、ZeroPressが推奨するガスケット選定のポイントに加え、温度変化にともなう応力変動とフランジ設計の注意点もあわせて解説します。

通常の熱媒体油循環配管には、膨張黒鉛(フレキシブルグラファイト)シートタイプのガスケットが一般的です。

  • 使用温度範囲:常用 〜300℃前後

  • 特徴:耐熱性・耐薬品性が高く、熱媒体油との相性も良好

  • 注意点:応力緩和や締め付けトルクのばらつきがあると漏れやすくなるため、フランジ面の平滑性や締結管理も重要

高温仕様:セミメタルガスケットの選定

300℃を超える環境では、膨張黒鉛単体では信頼性が低下するため、セミメタルガスケット(メタル+黒鉛複合型)の使用を検討します。

  • 構造:金属の内外輪で膨張黒鉛を挟み込み、形状保持力と耐熱性を両立

  • 耐温度性能:常用350℃〜400℃以上まで対応可能

  • メリット:熱膨張・収縮に強く、長期にわたって高いシール性を確保

⚠️ 見落とされがちなリスク|加熱冷却サイクルによる応力変動

熱媒油設備では、加熱・冷却を繰り返すサイクル運転をすることがありますが、これが漏油リスクを高める要因になることをご存じでしょうか?

◆ サイクル運転による応力変化

  • 急激な温度上昇 → フランジ部材の膨張

  • 急冷却 → 金属の急収縮

  • この繰り返しにより、ガスケットにかかる圧縮・偏心応力が変動します

特に配管設計で熱収縮による配管の変形が無視されている場合、ガスケットが早期に破断・硬化し、漏れの原因となります。

高温時のボルト選定もセットで考える

高温域では、締結力を維持するためにボルト・ナット材の耐熱性も重要です。

  • SNB7(耐熱合金鋼):500℃対応

  • SCM435(クロムモリブデン鋼):300~400℃向け

  • フランジ変形を防ぐため、等配・適正締結トルクの管理も必要です

設計時に考慮すべきこと

  • 配管ルートに膨張逃げの余裕(スライド機構・フレキシブル継手)を設ける

  • フランジの支持剛性が左右で偏らないようにする

  • 定期点検では、熱収縮によるフランジ部の微細な変形や焼け跡もチェック対象に

まとめ|高温対応には材料+設計+管理の総合力が必要

ZeroPressでは、高温サイクル環境を前提とした設計・メンテナンスのトータル提案を行っています。
再生・レトロフィット時に、過去仕様のままでは対応できない温度域への移行が増える中、
「ガスケットだけでなく構造・締結条件を含めて見直す」という視点が重要です。

今すぐご相談ください!

「熱媒体油循環系のガスケット選定」「漏れが再発する配管構成の見直し」など、
現場のお困りごとがあればお気軽にご相談ください。

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