なぜ断熱材が必要なのか?
ホットプレス機の内部には、200℃を超える熱板や加熱部品が組み込まれています。これらの熱が適切に遮断されなければ、いずれは機械全体が高温にさらされる事態となります。
特に注意すべきは、50℃を超えるあたりから生じるリスクです。
🔩 構造材の強度・精度劣化
⚡ 電気機器の誤作動・絶縁劣化
🧯 安全性の低下(火傷や誤操作)
高温は「ゆっくり壊す」性質を持ち、目に見えないダメージが徐々に蓄積します。だからこそ、熱板の熱をフレームに伝えない断熱対策が、ホットプレスの寿命・精度・安全性を左右するのです。
もくじ
🎯 選定時に重視すべき4つのポイント
ホットプレス用途における断熱材選定では、以下の4要素が重要です。
項目 | 解説 |
---|---|
① 耐熱温度 | 使用温度に+50〜100℃のマージンを持たせるのが安全。連続使用温度と瞬間使用温度の区別にも注意。 |
② 耐圧強度 | 加圧荷重に耐える圧縮強度が必須。フレーム間に挟む用途では100MPa以上が一つの目安。 |
③ 熱伝導率 | できる限り小さいほど良い(0.1~0.3 W/mKが理想)。熱解析で検証し、許容温度上昇を評価する。 |
④ コスト | 安価な断熱材でも、強度・熱膨張・加工性などのバランスを考慮。予算内での最適解を探ること。 |
🧱 素材別の断熱材比較一覧
以下に、ホットプレスで使用実績のある代表的な断熱材を素材ごとに分類し、用途や特徴を比較します。
1. セラミック系(カルシウムシリケート・セメント複合)
主な用途:産業炉、ゴム・樹脂プレス断熱板
特徴:耐熱1000℃級、比較的加工しやすい、ややもろい材質もあり
製品名 | メーカー | 耐熱温度 | 圧縮強度 | 熱伝導率 | 備考 |
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ヘミサル | ニチアス | ~700℃ | 約100 MPa | 約0.4 W/mK | 高荷重対応/ホットプレス用定番 |
キルナイト#1000 | A&Aマテリアル | ~1000℃ | 16.5 MPa(圧縮) | 0.19 W/mK | 高断熱+大型サイズ対応可 |
マリライト | A&Aマテリアル | ~1000℃ | 低め | 小さい | 軽量・不燃性。機械的用途にはやや弱い |
2. マイカ系(雲母積層板)
主な用途:電気炉、ヒーター絶縁、精密成形機スペーサー
特徴:電気絶縁性◎、耐熱・強度バランス◎、耐熱サイクル◎
製品名 | メーカー | 耐熱温度 | 圧縮強度 | 熱伝導率 | 備考 |
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ダンマ550L | 岡部マイカ | ~550℃ | 500 MPa | 0.18 W/mK | 強度トップクラス。繰り返し加熱に強い |
Micalex MM600 | Crystex | ~600℃ | 221 MPa | 非公開 | 高精度加工対応。北米でも実績多数 |
3. ガラス繊維系(グラスファイバー+耐熱樹脂)
主な用途:射出成形機・ゴム加硫プレスの金型下断熱板
特徴:強度◎、価格○、使用温度はやや低め(200〜400℃)
製品名 | メーカー | 耐熱温度 | 圧縮強度 | 熱伝導率 | 備考 |
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レジサルK | ニチアス | ~210℃ | 70 MPa | 0.12 W/mK | 熱板とフレーム間の定番品 |
ミオレックス561 | 菱電化成 | ~500℃ | ~150 MPa | – | プレス成形、電子部品の断熱治具向け |
Glastherm HT250 | Röchling | ~250℃ | 445 MPa | 非公開 | ドイツ製。高圧プレスで人気 |
📝 まとめ:断熱材は「熱を遮る構造材」である
断熱材とは、単なる“温度を下げる板”ではありません。温度と圧力の両方に耐える構造材であり、ホットプレス機においては「安全性・耐久性・精度」を保つための重要コンポーネントです。
ZeroPressでは、用途や予算に応じた断熱材選定のご相談にも対応可能です。
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